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Advanced

Device

量子アルゴリズムをシミュレータ上で実行する際の、シミュレーション手法を選択します。 以下の2つから選択できます。

State vector simulator

量子状態の状態ベクトルを直接的に扱い高精度に計算する手法です。 シミュレータ上では量子状態ベクトルに直接アクセスできるため、本手法を用いてエネルギー等の物理量の期待値を厳密に計算する事が可能です。 なお本手法による計算結果は、Sampling simulator においてサンプリング回数が無限大の極限に相当します。

Sampling simulator

実際の量子コンピュータにより近い、測定によるゆらぎの影響を含めたシミュレーション手法です。 量子コンピュータ実機では状態ベクトルにアクセスできないため、物理量の期待値を、量子回路の実行・測定を繰り返す「サンプリング」により計算します。 実機により近い条件でのシミュレーションを行いたい場合、こちらを選択します。

物理量の一度の計算に用いられるサンプリング回数は、Number of shots 欄で指定できます。

Noise

サンプリングシミュレーションによってQURIを実行する場合、実際の量子ハードウェアの性能をより正確に反映させるために、ノイズの影響を含めることが可能です。 Noiseオプションをオンにすることで、シミュレーションにノイズを加えることができます。 プリセットされたノイズの大きさは、一般的に利用可能な超伝導方式やイオントラップ方式の量子コンピュータ実機を想定して設定されています。また、エラー率はゲート1つあたりの値となっています。 微調整や実験のために、独自のエラー率の値を手動で入力することも可能です。

Gate error rate

QURIでは、すべてのゲートエラーがdepolarizing channelで表現されるノイズモデルを使用し、2量子ビットゲートエラーのみをシミュレートしています。 ここで、各2量子ビットゲートのエラー率は同じであると仮定しています。 さらに、読み出しエラーはこのノイズモデルには組み込まれていません。

このノイズモデルが選ばれた理由は、非常に高速で使いやすいからですが、以下の点に注意することが重要です。 まず、あらゆる状況における実際のデバイス性能を正確にモデル化するものではありません。 また、量子エラーはデバイスの性能評価において極めて重要な役割を果たしますが、それ以外にも重要な特性が数多く存在し、例えば以下のようなものがあります。 デバイスの接続性、ゲート速度、T1 および T2 時間などです。 なお、実際の量子デバイスの性能を評価するためのツールとして、それらの較正データに基づいてこのノイズモデルを使用することは推奨されません。

Excited States

電子励起状態の計算に関する設定を行います。

Number of excited states

計算する励起状態の数を整数で指定します。基底状態はこの値に含めません。

Solver

励起状態の計算手法を指定します。

SSVQE

Subspace-search VQE (SSVQE)を用いた計算を行います。

SSVQEのコスト関数 L(θ)=i=0kwiψi(θ)H^ψi(θ)\mathcal{L}(\theta) = \sum_{i=0}^k w_i \langle \psi_i(\theta) |\hat{H}| \psi_i(\theta) \rangle における、 ii 番目の状態に対応する重み係数 wi(>0)w_i (>0)SSVQE Weights 欄に w_0, w_1, ... のように入力します。

Number of excited states の値が kk のとき、全部で k+1k+1 個の 重み係数を入力します。 また、 w0>w1>...>wk>0w_0 > w_1 > ... > w_k > 0 を満たす必要があります。 例えば k=3k=3 の場合、 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 のように入力します。

VQD

Variational Quantum Deflation (VQD)を用いた計算を行います。

VQDのコスト関数 L(θk)=ψ(θk)Hψ(θk)+wi=0k1ψ(θi)ψ(θk)2\mathcal{L}(\theta_k) = \langle\psi(\theta_k)|H|\psi(\theta_k)\rangle + w \sum^{k-1}_{i=0} \left| \langle\psi(\theta_i)|\psi(\theta_k)\rangle \right|^2 における重み係数 w(>0)w (>0)VQD Weights 欄に入力します。

Penalty term weights

最適化のコスト関数に物理量 O^\hat{O} の寄与によるペナルティ項 iwiψi(θ)(O^oi)2ψi(θ)\sum_i w_i \langle \psi_i(\theta) |(\hat{O}-o_i)^2| \psi_i(\theta) \rangle を取り込みます。 ここで wi(>0)w_i (>0) はペナルティ項の重み係数、 O^\hat{O} は取り込みたい物理量に対応する演算子、 oio_i はその物理量が取るべき期待値です。

以下の項目では、各物理量に対する wiw_ioio_i を指定します。

Number of electrons

活性空間内の電子数が Active space 欄で指定した Number of electrons の値に制限されるようなペナルティ項の重みを入力します。

Spin S2S^2

全スピン演算子の2乗 S^2\hat{S}^2 の期待値が指定した値に制限されるような ペナルティ項の重みを入力します。 SCF Settings 欄で指定した Multiplicity の値が 2S+12S+1 のとき、 S^2\hat{S}^2 の期待値は S(S+1)S(S+1) に制限されます。

Spin SzS_z

zz 方向のスピン演算子 S^z\hat{S}_z の期待値が指定した値に制限されるような ペナルティ項の重みを入力します。 またその指定値を Sz target value に入力します。 SCF Settings 欄で指定した Multiplicity と、 Active space 欄で指定した Number of electrons のもとで 取り得る S^z\hat{S}_z の値が有効な入力となります。

Chemical properties

求めた電子状態に対して計算したい物理量にチェックを入れ、必要なパラメータを入力します。

Number of electrons

活性空間内の電子数です。

Spin S2S^2

全スピン演算子の2乗 S^2\hat{S}^2 の期待値です。

Spin SzS_z

zz 方向のスピン演算子 S^z\hat{S}_z の期待値です。

Dipole moment

双極子モーメントの期待値 Ψμ^Ψ\langle \Psi | \hat{\mu} | \Psi \rangle です。 計算対象にしたい状態を States 欄に 0, 1, ... のように入力します。

Transition dipole moment

遷移双極子モーメントの期待値 Ψjμ^Ψi\langle \Psi_j | \hat{\mu} | \Psi_i \rangle が表示されます。 計算対象にしたい状態のペアを State pairs 欄に (i,j), (i,k), ... のように入力します。